途中になっていた、去年見て面白かった展覧会。
アネット・メサジェの「聖と俗の使者たち」展。
オープニングトークでの覚え書き。


父は建築家で写真もやっていた。幼い頃色々な教会を回った。芸術学校で「男性的だ」と言われた。映画館や本に逃げ込む。散歩して出会った雀。雀の事は何も知らない、隣りのボーイフレンドのように。雀は殺してはいない。70年始め、女でアーティストだったので「子供がほしいか?」という質問ばかり受けた。アンディ・ウォーホルみたいに同じ事(ミニマル)をする人が多かった。君はいつも違うので成功しないと言われた。女性がアーティストになることはフランスでは難しかった。


トリックスター/様々な人物像を作る。 作品を作る時、あまり相性が良くない物の組み合わせに興味がある。写真に絵を描くなど。・キマイラ/ギュスターヴ・モローから影響。絵画はどうして白い壁にかけられているのか?白い人形は嫌い。ぬいぐるみは柔らかい、形がないところが好き。突然不安な存在になる。・私の願いMy wishes/足でひと蹴りして形になった。洋服は皮膚のようなもの。2-3年で死んでいく。・ドレスの物語/ある日捨てていく。セーターをほどいた時に美しい形に。・解剖学Anatomie/素材自身が作る形。・残りもの/ぬいぐるみをバラバラにしたもの。・つながったり分かれたり/20世紀が終わり21世紀へ。女性の地位の向上の他は、汚染など暗い事ばかり。現在、未来に興味がある。動きある作品。狂牛病から。布、ぬいぐるみ。家にある安い物を。美術館で、たち止まる、方向を変えてみる、好きじゃない。・ふくらんだりしぼんだり/人間の臓器。・ハピー/hapy/pを2つ書くのは退屈。1つの方がいい。・3つの銃/布の銃に体の一部のピンバッジ。・3つの世界/地球儀を作る。妊娠した女性を表す。糸を上から吊るす、演劇に影響された。


好きなもの、ルイーズ・ニーヴェルソン、映画、道のらくがき、ソーセージ、ワイン、ビール、田舎は好きではない。家にいるのが好き。アートで幸せになる事ができた。一つのバランス、一人ぼっちで仕事。ぬいぐるみは性別がないから好き。人形はある。子供の頃、自分の一部のように保存する。個人にとってアートは重要。集団は変える事は出来ない。70年代は変えられると思っていた。ぬいぐるみは優しいけど意地悪。。


http://www.mori.art.museum/contents/annette/index.html




ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を取った<カジノ>の
空間はとにかく圧倒された。天井から吊り下がる生物の影と、
床の様々な生物の布で出来た物体。バックに陰で表現された
時計が回ると、真っ赤な大布で表現された波が、
床の生物を飲み込んでいく。とてもダイナミックに
静かに変化していく時を表しているよう。
天井から吊られた鳥の剥製とぬいぐるみのコラージュ。
アネットの部屋を小さな穴から覗き込み、膨大な印刷物コレクション
を眺める部屋。古い衣類やぬいぐるみ、ニットからほどかれた糸、
ゴミ袋、小さくなった鉛筆、下絵、写真など..私達の生活から忘れ去られ、
捨てられようとしていた物達がアネットの手で新たな生命を宿していく。
狂牛病からヒントを得て制作された、ぬいぐるみを繋ぎ合わせて
作られ機械仕掛けで動く<つながったり分かれたり>。
カラフルなナイロンで出来た、生物の巨大な臓器のような
様々な形が<ふくらんだりしぼんだり>するインスタレーション
天井から無数の糸が吊るされ、手を加え変形されたぬいぐるみや衣類、
ゴミ袋や写真が吊るされた<たよったり自立したり>。
捨てられていく汚れた物体も、不思議な整合性を持って手が加えられ
並び替えられ、各部屋ごとにみごとな空間を作り出していました。
想像していたよりもジャンクな感じがしないのは、女性ならではの
感性があるからなのかな..と歩き回りながら思いました。