MOT川俣正「通路」展を見て来ました。
川俣サンの過去30年間のプロジェクトを見れる展覧会。
ギャラリー内がベニヤ板で迷路のように仕切られ、
その通路の合間にある作業部屋のようなスペースに、
数々のプロジェクトラボがある。
膨大な数の海外、国内での野外プロジェクトの
建物や作業写真、資料、映像の他、
参加した人がプライベートな領域を探求する
自画像を描けるスペース「セルフポートレート・ラボ」や
廃墟と化した炭鉱跡の記憶をたどる「コールマイン・ラボ」。
東京内のホームレス住居を訪れマッピングした
「サバイバルイン東京・ラボ」、制作ラボや編集ラボ。
全国から沢山の案を集めて最強のアイデアを実現する
「Wah・ラボ」この関西のグループのパフォーマンスDVDが
スゴイ面白くて、この企画がどんな形になるか楽しみ。
http://page.freett.com/wah13202/index.htm



「通路」カフェでの川俣正×高嶺格トーク
アーティストは「通路」である。
横浜トリエンナーレ後、人の作品のプロデュースに
疲れたのもあり、日本にいる意味もなくなって、
あてもなくフランスに移住したという川俣サン。
(今回使われた大量のベニヤ板は次の横トリへ
リサイクルされるらしい。)
5ヶ月になる子供が出来てから、教授職の仕事が
決まったり、色々な事が順調に進んで子供が
導いてくれた、という互いの子供の話しになる。
子供が出来た事により、作品が変わるかな..と
生まれる前は思っていたけれど、影響は思ったより
なかったと言っていた。
二人子供がいる高嶺サンは、子供が主体の
生活で最近は主夫もしていたという。
映像作品にしたりもしているらしい。
高嶺サンが学生の時あるアーティストに
何で作品を作っているの?っと質問をした時に、
「仕事だから..」と言っていたアーティストに当時は
反感があったらしいけれど、今ならその背負いが
スゴイ分かるという話しをしていた。
「God Bless America」の作品を作った頃
9.11からアメリカへの疑問を映像にしたらしい。
学生の時は、生魚に漆を塗った作品を作ったりしていたとか。


その作品はどうゆう意味があるのか?という
客からの質問に、作品にすぐ返ってくる答えを
求めない方がいい..時間をかけて寝かせて
熟成させて分かる事がある。
作家は答え(アンサー)を作り出すんじゃない、
疑問(クエッション)を投げかけるだけ..
という川俣サンの言葉がとても印象的だった。
展覧会をする時はだいたい2年前に話しが来るので、
その時の始めの意思とかは覚えていなくて、
会期直前はただただ作業を進めるだけ..
と話していた。そのうち客も作品作りから参加する
会員制展覧会をしたい、凄い限定された作品だけれど、
作品皆で作ったら終わり...という展示がしたいと川俣サンが
言っていて、実現したら参加したいな、と思った。


川俣サンの作品はやはりギャラリー内より
屋外にあった方が面白いな..中通路にも
もう少し仕掛けがあったら面白いのに..と
思った展示でしたが、レクチャーが良かったので
今後の二人の活動に期待したいと思いました。
「メルツ(バウ)Merzbou―アートプロセス・ワーク」
のワークショップ、どんな感じなのか気になります。
http://www.kawamata.mot-art-museum.jp/index.html




同時開催の「解きほぐすとき」展がとても面白かった。
金氏徹平サンの集めたジャンク品、透明プラスティック、白樹脂、
塗り絵の切り抜き、コーヒーでシミを作った紙や板などの
様々な素材のコラージュ作品に新しさを感じた。
今回一番印象に残った作品。
建物から燃え上がる炎を表現した、写真から版画にし
その上から独特のタッチでドローイングした平面作品の
彦坂敏昭サンの 手法の込んだドローイング。
布の刺繍をほどいたり、新たに刺繍をしたり、巨大な織物に絵画を
プリントした布作品の手塚愛子サン。
高橋万里子サンのお母さんの写真の作品が、
見る角度によって違う表情に見えるのが不思議だった。
立花文穂サンの作品は印刷物の方が面白いな。。