永遠のハバナ [DVD]

永遠のハバナ [DVD]


フェルナンド・ペレス監督2003年のキューバ映画
キューバ映画っていうと、ヴェンダース
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブぐらいしか思いつかない程
ラテン映画には疎い私ですが、とても興味深い映画でした。
ジョンレノンの像が毎日、監視員に交代に見守られている中、
キューバで起こる日常のカットアップ映像。
自動車や人や自転車が代わる代わる行き交う街中、
工場での機械が回り軋む音や、人々の会話、
子供たちが飛び回る古びた建物の隅々、
公園の鳥のさえずり、ゆるりと生活している老人の
豆を剥く音や、コーヒーをいれる朝のひととき。
夜の街にアグレッシブに響き渡るラテンミュージック。
ストーリーはなく日常の映像は続いていき、前の場面の音に
スムーズに重なるかのように、心地よく次の場面に繋いでいく。
まるでDJを見ているような映像。
カストロが政権を取るようになり、自由の象徴として
新市街の公園に建てられたジョンレノン像の、眼鏡が何度も
盗まれるようになり、24時間の監視が付けられるように
なったそう。けして裕福そうではなく、家庭の中には
余計な物は何もなく、壁が朽ちて古びた建物と、新しい建物が
整合性なく立ち並ぶキューバの街並み。
キューバではひとりひとり誰もが評論家であり、
政治でも映画でも、日常会話で議論する...というのが普通だそう。
安定しない国政の中、私達の住む日本よりも
とても強く豊かな何かがあるように感じられ、
うらやましく思った。
ラスト夕暮れの中、津波のように沿岸の建物を美しく覆う波々。
雨に打たれるジョンレノンの像が守られている限り、
この国は大丈夫なんだな...と思った。
音響系の音楽ファンには、ツボにくる映画だと思うので
オススメです。



上映後、プロデューサーの比嘉世津子さんのとても面白くて
すっかりファンになってしまったラテントークもあり、
(ラテン映画はシュールな物が多く、ブニュエル曰く、
メキシコの日常は、そのままブニュエル映画のようらしい)
sotoのTAROサンの美味しいキューバプレートも頂き、
(ソフリート(野菜を炒めた調味料)で味付けをした
豆と豚肉のシチュー、黒豆ゴハン、サラダ、甘さ控えめのバナナフライ、
モヒート(ラムとミントを炭酸で割ったキューバのカクテル))
キューバを満喫した夜でした。
春公開のアルゼンチン映画今夜、列車は走る」を楽しみに。。


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