爆音映画祭で「喜劇 とんかつ一代」を観ました。
久しぶりの吉祥寺バウスシアターで、椅子は座り心地が
良くなっているし、興行収入がありそうな映画も
やっているしで少しビックリ。



川島雄三監督の1963年の作品。
観る前の想像をいい意味で裏切らない映画だった。
この年代に私はまだ生まれていないのですが、
昭和の下町風情がある上野を舞台に描かれた話し。
青竜軒という老舗洋食店で修行した久作は
独立して、とん久というとんかつ店を営んでいる。
コック長の伝次が、息子伸一に後を継がせたい..と
いう意図を汲み取り、何も言わず身を引いて
伝次の妹の柿江と結婚して、とん久を始める。
伝次の息子、伸一は親の期待とは裏腹に、
現代風レストランを夢見ていたり、親が薦める
相手とは別の女性とつき合っていたり。
登場人物が皆、ご近所職場で繋がっていて、
日常の問題をドタバタしながら、江戸っ子情緒溢れる
笑いと涙で、テンポ良くストーリーが進んでいく。
クロレラを研究している夫妻の食事は、
日に3度緑色のまずそうなクロレラ料理だったり、
(この年代の未来食のイメージってこんな風
だったんだろうな..と思う可笑しな食事。)
芸者好きな変な外人が出てきたり。
女の人達が着ている着物の柄も、今の洋服より斬新だったり。
今の上野と違っていたり、残っていたりする
街並や建物を見ているだけでも楽しめる。
美しい昭和的に描かれるここ近年の
映画は、何となく違和感があるけれど、
昭和のイメージってこんな感じだったよな...
近所にはおせっかいな、おじさんおばさんがいて
ダメなもんはダメ!と誰にでも声を張り上げながら、
良くも悪くもその町と一緒に暮らす..みたいな感じ
うちの田舎にもあったよなーと思った。
この映画の生きている感じが「昭和」だとしたら、
そんな東京の下町が好きだし、そんな町に住みたいと思った。
今度、上野の井泉本店でとんかつ食べてみたい。


通常の4倍の音量で映画が見れる映画祭。
劇場内には大きなスピーカーが沢山積まれていて
ライブ会場みたいだった。
サム・ペキンパーとかの映画の方が、
その音量が味わえたかな。。