目黒区美術館での炭鉱展に行って来た。
知人に色々話しは聞いていたのですが、
想像していた程グロさは感じなかった。
それでも山本作兵衛の絵のインパクトは凄かった。
過酷で非人間的な労働やつつましい日常を
あれ程ユーモラスに描き言葉を綴る事が出来るのは、
やはり自身も炭鉱で働いていたから、リアリティのある
表現が出来るんだよなと思った。
こういう力強い作品を見るとアーティストであるとか、
美術であるカテゴリーとかどうでもよくなる。
絵を見ながら、優れたイギリスのポップソングを
聞いているような感覚になった。


展示してあった当時の炭鉱の人々の作品を見ていると、
労働に一致団結して勤しむ姿や、労働の後のささやかな一杯や食卓、
貧しい中での子供たちのイキイキとした表情など、
もしかして現代よりも人間が人間らしくあった時代なのでは
ないか..と思ってしまう程だった。
悲惨な労働の中にも未来があると信じ労働し続けたこの時代、
女性達が男性以上に過酷な労働をし、鉱内出産をしてまで
家族を支えた1950年代。


自殺者が年間3万人を超える現代の日本で、
川俣正がコールマイン・プロジェクトを行った意味がようやく分かった。
(川俣サンの作品はずっと好きだったのですが、
コールマイン〜は自分の中でピンとこない作品だったので。)
異常な労働を強いられ、この時代のように未来に希望すら見えない現代。
心の拠り所のない今だからこそ見直す時代なのかもしれないし、
今は当時より過酷な時代なのかもしれないと思った。
生きるという事の意味を炭鉱から学びノスタルジー以上に
未来へ向かう表現へ繋げていく事。
川俣サンの今後の作品に期待しようと思った。


力強い千田梅二の版画や、労働組合インパクトの強い
ロゴタイプやポップな色のポスターも良かった。
炭鉱節ってカッコイイね。

http://www.mmat.jp/event/tanko/index.html