G/Pギャラリーで長浜徹さんの展示を見た。
「Layout of Everyday pt.2: Layer and Layout」
日常品から切り取られた数々の写真が様々な大きさ形でカットされ、
ギャラリーの壁一面にランダムに散りばめられている。
写真の上をクリップで留め下にカラフルなビニールテープが
吊してあったり、額に入れられた写真が斜め掛けしてあったり、
馬の写真からしっぽのようにラップの筒と髪の毛が伸びていたり。
なかなか見ない金縁額が使用されていたり、
写真の中のテープ跡から続けて本物のテープが
貼ってあったり、ゴミ写真も丸めて展示してあったり。


ぱっと見ると写真と物の境が分からないような作品は、
色のカラフルさと柔らかさ、異物同士の重ね合わせの
ジャンクさが見事な空間を生み出していた。
一見無造作に見えるレイアウトは、スゴク考え出されて
いるんだろうな..と思った。


見てみたかった限定手作り写真集、妹サンを題材にまとめたものや
(妹サンの髪の毛がしおりになっている!)、タトゥーシリーズの
本も手に取って見る事が出来た。タトゥーと緑が続く柔らかさは
想像するタトゥー本のイメージとは全然違う新しい視点。
フォントの使い方や紙質も面白い写真集。


ギャラリーの方にお話しを伺っていたら、
長浜サンはイギリスでは腕の良いデザイナーで、
現代美術の中では難しい位置付けにいると言っていた。
売れる作風ではないし、ポリティックスではないので..と。


以前見た作品より凄く面白い展示で、入った瞬間「好き!」と
思ってしまう程、私の好きな感じだったんだけれど、
面白い作品には言葉も政治性も本当は必要なくて、
たとえ鑑賞者が少なくても、見た聞いた瞬間ゾクゾクする何かが
あるものが面白い美術作品や音楽なんだな..と最近は思う。

http://www.gptokyo.jp/news/index.php



ナディフに行ったらちょうど鴻池朋子×福住廉トークがやっていた。
限界芸術の話しを中心にお二人での対談。
鴻池サンが美術館でも、資本に組み込まれていくような展示は嫌..
と言っていたのが印象的だった。
美術館の堅苦しさはずっとニガテだったらしい。
山奥のワークショップではキュレター側には安全第一と言われた。
子供嫌いだけれど、日々に追われるお母さんと幼稚園児のために
ワークショップをして、わがままだけれどもろいところが
自分に似ている..という発見があったと言っていた。
福住サンが小さなスペースで、パンクロッカーで落語家の
高座をした話しなど。メディアが扱わない、少人数でも
新しい何かが生まれる場所の面白さを熱く語っていた。


地下に展示されていた稲垣智子×植松琢麿「稲を植える人」展も
面白かった。こもれび展に出展していた人だったのか。

http://www.nadiff.com/home.html



ギャラリー小柳でトーマス・ルフの写真を見た。
手法はとても面白いと思いつつ、印刷物で見る
作品にはピンとこなかったルフの写真。
cassini土星探査機とタイトルがつけられた作品。
エアブラシで描いたような、マットなペインティングのように
見える土星の写真は、近寄ると細かいドットが見え美しい。
引いたり寄ったりしながら作品を見ていると、
イームズのPowers of tenや、この間見た野村仁サンの
作品のような宇宙感のある構成だな..と思った。
数理曲線を分解・再構成したzyclesは
どんな風にあの線のドローイングを描いているんだろう。
モアレドットのイメージが強かったルフだけれど、
ギャラリーにあった作品集を見ていたら、
色々な作風にチャレンジしていたんだな。
どれもストイックな作風の写真だった。

http://www.gallerykoyanagi.com/