3月に原宿Vacantで行われたChim↑Pom
「広島!」展の時のトークイベント。
書くかどうしようか迷っていたのですが、
この時期になり、やはり日記に残しておこうと思いました。


広島で原爆の被害にあわれた、
広島被団協理事長 坪井サンのお話し。


アメリカへは7回行っている。連れていかれた。ネバタ、核実験場など。
北朝鮮2回行った。拉致されかねた。ネクタイ集めが趣味。
1945年8月6日の広島、大学へ行く途中、20才の時(現84才)。
被爆地1kmぐらいの所にいた。(60%の人がその時に死んだ。)
「シューッ」と音がして、目と耳おさえる。
はだしのゲン」マンガのよう。90%そのまま。
長袖で歩けと言われた。半袖はダメ。爆弾で傷つく。
武器を作るのが遅れるので。尋常じゃない。
「シューッ」と音がして飛ばされ気を失う。
目が冷めたら真っ暗。(何分間か)。瞬間なので何も覚えてない。
木造家屋、屋根が全て地面上。500mは全員死亡。外に骨もない。
原始爆弾の温度は3,000~4,000度。
瓦礫の山の中からおばさんを助けようとした時、
ズボンなくなり粉になった。
やられたと思ったら、血の気が引くように助けられなくなった。
声を出しても誰も来ない。背中が針千本、ちくちく痛み出す。
まだシャツに火がついていた。後から自分に腹立てるのはおかしいが。


一人のおばさんを助けられなかった。瓦礫の中に入っていけなかった。
上半身裸、半ズボンで火の中逃げる。目玉が落ちている。
逃げる女学生。後が凄いのが原爆の恐ろしさ。
足首だけが家に引っかかっているおじさん。
川に飛び込む。子供、大人の足つかみ2人とも沈む。
死体の川。入る隙間がない。
ガラスや釘でがちゃがちゃの道。火のないところへ行く。
道路のコールタールに火がつく。皆裸足。足の裏が血だらけ。
人の死体を踏みつけないと逃げられない。私は極悪人と思った。
皮膚感覚がなくなる。ガラスが刺さる。
親戚の家にたどりつきおばさんに会えて嬉しかったけれど、
受け付けてくれない。自分と死んでくれない。
一緒に死ぬようになると迷惑がかかるので去る。
おばさんを蹴り飛ばし逃げる。200m先で倒れる。


国連事務所、その時の写真がある。
みゆき橋の写真。原子爆弾が落ちて3時間ぐらいの時。
瓦礫の中に「坪井ここに死す」と地面に書いた。
子供、女、年寄りは救急の車に乗れない。治療後回しにされた。
若い男しか乗れない。勝つための者。
相手を殴りたかったけれど、力尽きて出来なかった。
港へ行ったら被爆者が何万人もいた。
友人と「負けるもんか!」と言い合う。
友に助けられ、嬉しくて涙が止まらなかった。
病室の人が次々と死んでいく。
水の滴も飲めない、歩けない人ばかり。
食べ物や水は友人が運んでくれた。
9月25日まで(被爆してから40日間)日本が負けたのは知らなかった。
誰かが食べさせてくれたが、それさえも分からなかった。
痛みつけられた人が、何とか生きている。
温情を感じた。虐げられた人の気持ちを考える。
約100日間、毎日親に死の宣告をされた。
包帯はゆかた。体の熱で半日でカパカパになる。
さじを取るのも痛い。肉にくいつく。看病してた親も被爆者。


1年後、やっと立つことが出来た。
その後、11回も入退院を繰り返す。
約束した以上、地を這ってでも来る。
アメリカ、アフリカ、フランスなどを回った。
8種類の薬を飲みながら。尽きるまで、果てるまで活動する。


どうして助かったか意識がない。
お母さんが探してくれた。
「直や〜」と言われ手をあげたらしいが覚えてない。
母親の一声で私は生きた。
幸運が重なってこの世に生きてこれた。
人のために生きなければいかん。
嘲笑が聞こえてきても問題じゃない。
戦争じゃなくても人を殺してはいけない。
「ネバーギブアップ」絶対に諦めるな。
若い人が多いのは心強い。若いエネルギーが大事。


Chim↑Pomのメンバーは「頑張れ!」と言われた。
何で人間は平和を勝ち取る事が出来るか?
「文化の力」命を大切にする方向へ全ての表現が向いてくれるといい。


Chim↑Pomの作品を見て
思い出したくないお年寄りも沢山いる。
理性があるのが人間。物を言ったり話しをする。
感性だけでものを言ってはいけない
「ピカッ」を見てここにアホがおったと思った。
Chim↑Pomは順序を踏んでいこうと思ったのに、
現代美術館の学芸員がビックリさせようと思った。
100年後は素晴らしいかもしれないが、
今生きている被爆者には惨すぎる。
もうちょっと人の心に食い込む作品でいいと思う。
こういう事は反対ではない。


軍事教育が問題だった。人を沢山殺す事が手柄。
教育が操作してた時代。謝罪記者会見の前に
Chim↑Pomに「諦めるな!」と言い、その瞬間打ち解けた。。

http://www.cinra.net/news/2009/03/06/192527.php



緊張感ある内容なのに、分かりやすい言葉で
ユーモアを交えながら話す坪井サンは、
「本当は立っているのもやっとの状態なんですが..」
と、とても思えない、84才には見えない元気な方だった。
最後に「坪井の宣伝。」と言いアメリカ、イギリス、ドイツ、インド
などの新聞でも取り上げられている紹介や、オバマ大統領へ
宛てた手紙の紹介をして「体に気をつけてね!さよなら!!」
と元気に手を振り去って行った。


しばらく前、色々なところでChim↑Pomの事を
取り上げた記事を見たり聞いたりして、
最近の現代美術界で、今までにないくらいの
激しい賛否両論に、芸術って何だろう..と考えさせられた。
この時のChim↑Pomの作品や、メンバーと坪井さんの
信頼関係に触れて、なんか芸術ってこれでいいんだな..
と凄く肯定的に思えた日だった。