水戸芸術館でのツェ・スーメイ展へ行って来ました。
少し前になりますが、作家のオープニングトークでの覚え書き。


・東南北西/始めの部屋の展示。ルクセンブルグ美術館で行った。中国での方位の感覚。異文化への感心。東から考える(ヨーロッパは南北から。立体的。)感覚が違う。東西の広がり。
・盆栽/2室の展示。コントロールされている自然。完璧を作りあげる自然をやってみた。壁のラインは社会全体の基準を見せている。基準を考える。音、チューニングー音の質の違い。文化の違い。高低上の違い。
・ラップ足/てん足を題材に。痛み、基準の関係性。
・シューズ/てん足をしている人の靴。シアトル美術館。間の表現。抑圧されているもの。自由さ。
川端康成の本「名人」からの作品。ひとつの戦いに6ヶ月以上。対極。宇宙的な世界。小説の中の作品を制作。碁を並べた。数ヶ月後に息を引き取った。試合中の時、思い、謎めいたもの、神秘的なものの表現。日本の文化の幅広さを色々発見している。川端の本から影響。静けさ、沈黙。時間のリズムが独特。
イーストウィンド/木が立っている。木のてっぺんが曲がっている。テグスで。5本。弦楽器的。東の方への傾き。
・噴水/インクを流し続けている。文学へのオマージュ。インクの流れのループを作る。循環し学習されるものになっていく。何かを元に戻していく事の大切さを表現。日常生活の中、前へ前へから後ずさる事の大切さ。
・赤スピーカー3つ/LPの沈黙の音。デモスピーカーによく使う。ペルシャじゅうたんが床に描かれている。コラボレーション。記憶。時間の関係性。
・黄色の部屋/ベネチア・ビエンナーレ作品。自分の身体の音だけを感じられる作品。
・シロンブルシェルト/壁に穴があいている。MP3の耳に繋がる、向こうの側の音に繋がる作品。
・[e:r]conditione/ライト作品。[e:r]発音記号。大気、空気、曲、場の雰囲気などの様々な意味。
・9人の台湾、中国のアーティストと、白いプロペラ回転し続ける。サム・エアリング。
・白い耳/MP3、音。耳もコンパクトに圧縮されてしまうかも?
・白い砂時計/様々な砂時計。友人に好きな時間を決めて作った。
・掃除の作品/山を掃除。一人一人の顔を取り戻していく事のお手伝い。ユニフォームはパリの掃除屋さんの。人は役者もいる。
・ジャガイモと私/セラミックで制作。生のジャガイモは混ざっていない。作る事の面白さ。
・言葉を使ってまず作品をまとめてから制作する。完璧な演奏より、完璧なアート作品の方が難しい。音楽、バッハ、考える、よく音が合わされたという意味がある。突き進む事の苦しみ、痛々しさ。不完全さ。エラーが大好き、面白い。

http://www.arttowermito.or.jp/art/modules/tinyd0/index.php?id=6


2003年にベネチア・ビエンナーレで賞を受賞した
若手女性アーティスト、ツェ・スーメイ。
音とイメージをミックスした数々の作品は、
生まれた環境からの影響か、西洋のものと東洋のものの
間を揺らぐ、面白い視覚、聴覚の作品が多かった。
指を固定されたまま演奏する映像や、壁から向こう側の
部屋からの音が聞こえてくるヘッドフォン。
木々のオブジェクトから音を発する映像、
貝がシリコンの中に入ったヘッドフォンの彫刻など。
演奏家の両親がいる家庭で育った彼女も楽器を演奏する。
そんな彼女が「完璧な演奏より、完璧なアート作品の方が難しい。」
と言ってしまうのは面白いな..と思った。
アルプスの山奥の崖付近で、チェロを演奏する自身の音が
自然の中で響き渡り、山々に反響する作品「L'echo」。
西洋と東洋、自由と不自由さ、国境、基準。。
様々な「間」の表現を考えさせられた展覧会だった。



みとげ付近にあるキワマリ荘へ行く。
アーティストのアトリエとギャラリーとショップが一緒になった一軒家。
大垣ビエンナーレを思い起こされる、ジャンクなオブジェと
音とペインティングがカッコ良かった。
素敵なハンドメイドの洋服や小物を扱っているぎんどろ。
古い木綿の着物生地をリメイクしたワンピースが素敵で、
今度行った時は、是非自分の体に合わせて作ってもらいたいな..
と思った。バッグもカッコ良かった。お茶ごちそうさまでした。。