(DVD選書) ミリキタニの猫 (DVD付) (アップリンクDVD選書)

(DVD選書) ミリキタニの猫 (DVD付) (アップリンクDVD選書)

soto12月の映画会「ミリキタニの猫」。
NYの路上で絵を描きながら生活する80歳のミリキタニ。
ドキュメンタリーなどを手掛ける監督リンダと出会い、
9.11の被害を逃れるために、彼女との共同生活を始める。
若い時コックで、ジャクソン・ポロックに食事を作ったという。
演歌(北国の春)と中国歌をミックスしながら
鼻歌で歌い、路上でカラフルな絵を描きなぐる。
サムライムービーを愛し、日本庭園では松の木を
持ち帰ろうとして止められたり。。
「私は平和アーティスト。自分は日本人、日本で死ぬんだ..。
NYはいずれホームレスで溢れ返る。あっちも貸店舗、
こっちも貸店舗の看板。俺は日本人アーティストだ。。」
と、アメリカの社会保障を頑なに拒み、なかなか市が
提供する施設には入ろうとしない。
生まれ育った広島を捨て、18才で自由を求めアメリカに
渡ったが、第二次世界大戦中、日系人強制収容所
入れられた過去を持ち、市民権を放棄していた。

リンダと出会った事で、離ればなれになっていた兄妹に会い、
新聞の記事から探し出し、ミリキタニを名乗る詩人が
親戚と判明したり、徐々に彼の身辺は変化していく。
彼がいつも絵に描いていた、山の中のツールレイク
強制収容所へ向かうツアーバスの中、
「もう怒ってない。。思い出を通り過ぎるだけ..」
と、自分の過去に起こった歴史を許していたのが
印象的だった。その後、社会保障を受け、住まいを持ち
施設で絵画の講師をするまでになる。
戦争というひとつの歴史で、一人の人間の生き方、
人生観を左右し、年を取ってもその価値観に囚われ、
プライドを持ち続け彼は路上生活を選んでいた。
私には想像する事しか出来ない強い悲しみや絶望。
ミリキタニはペインティング、リンダは映像という
作品を通し、年齢や性別や国籍を超え、
心を解きほぐす、分かり合えるものになっていく
過程が心に残った映画でした。

http://www.uplink.co.jp/thecatsofmirikitani/



映画中にミリキタニが、リンダに作ってもらって
うどんを食べるシーンからヒントを得て作られた料理。
ちょっと変わっているNY風天ぷらうどん。
お皿入っているうどん。ブロッコリー、ズッキーニ、カボチャ、
海老の天ぷら。マッシュルームやパプリカが入っていたり、
カニカマに三葉が結んであったりしました。