友達とターシャ・テューダー展へ行って来ました。
アメリカの田舎に住み、手作りの生活を楽しむ92歳のターシャ。
一緒に行った友達にターシャを教えてもらって以来、
彼女のライフスタイルに興味を持っていたんだけれど、
改めて色々考えさせられた展覧会でした。


自分でデザインして長男と一緒に作った、カントリーテイストの家や、
沢山の緑や花やハーブに囲まれた手作りの庭。
使い込まれていい色合いになった食器類、調理器具、家具、
絵や手芸の道具、手作りの花柄ワンピース、ブラウス、スカート、
白い糸で繊細に刺繍され使い込まれて生成り色になったケープや、
様々な色合いの布地でパッチワークされたひざ掛け。
糸車で羊毛から糸を紡ぎ、丁寧に編まれたセーターや
くつ下などのニット類。(Vに編まれた生成りのケープが良かった!)
手作りのお菓子やジャム、収穫したりんごを大きな専用の
道具で搾る自家製のりんごジュース。
暮らしの中で使われている、シンプルな形の蜜蝋から作るロウソク。
子供のために作った楽しい絵が描かれたカード類。
お手製の洋服を着た、木製操り人形を使っての人形劇は、
評判になって外でも公演することに。
そして今まで出版された数々の絵本の原画が並ぶ。
飼っているコーギー犬や動物が出てくる、楽しい生活のストーリー。



彼女のライフスタイルを見進めていく程、
生活の全てをクリエイトしていくエネルギーに、
感銘を受け引き込まれていったのですが、
展示の最後の方にあった映像を見ていて、考えさせられました。
幼い頃両親が離婚し、友人夫婦に育てられ、
その夫婦のユニークな教育が、今のターシャの暮らしに
影響を与えたらしいのですが、自らも4人の子供を
もうけながら40代で離婚しています。
その理由を「暮らしを楽しむことに夢中だった私と子供たちの
間に、夫だった人は入れなかった..」と言っていて、
女として家庭を守る事や、社会の中での役割を考えさせられました。
見終わった後友達と色々話していて、その友達のお母さんの
言葉にハッとしました。「自分の好きな事ばかりやっているから、
家庭が崩壊するのよ。ターシャは好きじゃない。。」
友達のお母さんはずっと子育てをしながら働いてきた、
キャリアウーマンなのですが、料理や裁縫など家の事も得意で、
家族を置き去りにした事はなく、いつも夫を立てていた...
と、友達は話していました。


私自身、20代までは全く結婚や、安定した暮らしに憧れはなかった。
30代を迎えた頃から、働いていて何かが違う...
時間とストレスをお金に代えているような感覚で、
仕事をしていく事に疑問が出てきていた中、
私より立派なキャリアを捨てて、家族を守る友人達の
地に足がついた言葉に救われ、自分の中の価値観が変わっていきました。
自分の自我を無くし、まわりの人に尽くす事で得る幸せ。
何でもお金で買える世の中だからこそ、ターシャの手作りが溢れる
暮らしは世界中で見直され、絶賛されていると思います。
一見幸せそうな生活の中で、様々な辛い経験をしてきた彼女だからこそ、
言葉に深みがあるのかな...と、女として、人間として生きる事の
深さを考えさせられました。

「人間は欲が深くて 満足を知らない」って私も賛成よ
でも人生は短いのよ
充分に楽しむためには まず手に入れたものに感謝すること
文句を言っている暇などないの
目の前にある幸せを 精一杯味わうことよ...


http://www.nhk-sc.or.jp/event/contents/tasha.html