チケットが余っているので...と友達に誘われて、
H・アール・カオスコンテンポラリーダンス公演を観て来ました。
振付師、大島早紀子サン率いるH・アール・カオス
ワイヤー吊りをダンスに取り入れる事で有名なダンスカンパニー。


前半の「中国の不思議な役人」では暗い色をイメージした
セットの中、椅子を効果的に動かし使って踊る。
天からワイヤーで吊られ力強くうごめく身体や、
落ちてくる巨大な針で、何度刺されても
復活する肉体の表現に目を奪われる。
台に貼付けられ、もがきあがく身体を見ていると、
暗闇に置き去りにされた、現代の魂の形を見ているようだった。
ラスト、廃墟の中の時計台のようなセットが合体し、
ボロボロの衣装とダンサーの肉体が、
暗闇の中で静かに眠りにつく。。



武満徹の「シグナルズ・フロム・ヘヴン」の管楽器の演奏と、
武満徹の曲の良さがあまり出ていなかったような...)
大友直人×鈴木晶の対談を休憩に挟む。
(秘密クラブや、大島サンは以前ダンサーだった事、
警察沙汰になった昔の舞台の事など。この間日美を見ていたら
キリンアートアワードで賞を取った時の映像が流れていた。)



後半の「ボレロ」では、前半の暗いイメージとは対照的な、
真っ赤な舞台装置の中での踊り。鎖骨が見える程の軽い衣装で
白河直子サンの少年的な身体が、赤い花びらの輪の中、
空気に反発しながら、解けていくかのように自由に舞う。
誰もが聴いた事がある陽気な音楽なのに、何度も同じ小節を
リフレインしていくうちに、寂しげで力強い音に聴こえてくる。
どんどんアグレッシヴになる音と、ダンサーの身体が
真っ赤な空間の中、解け合い昇天に昇る。
ふたつの対照的なテーマの中、人間の持つしなやかで
たくましい身体と精神を見たような表現だった。
コンテンポラリーダンスには疎い私でも、時代の持つ不安定な
不確かさに対する表現に、自分の中の何かを動かされた夜でした。



http://h-art-chaos.com/